図書館
[黒魔術による死者が出た。主要な情報が礼拝堂でチャールズ先生から知らされた後。
自分の心はどんよりと重い。
あの人は姿かたちもなく消えてしまったけれど、今日自分が目の当たりにしたのは大理石に張り付いた黒い痕、聖水の靄…。
きっと自分があの人のあんな姿を目の当たりにしていたら、その場で壊れていたに違いない。
彼が消えた本棚の合間。
目を閉じ、両手を広げて背表紙をなぞりながらゆっくりと歩く。
目の前にはどんよりと重い空気を携えた鉛の扉。どっしりとした鍵が見えていた。
あの日、確かに自分が深夜に一人で訪れた際は開いていた。
確認するように、冷たい扉を押すが重い音が響くだけ。
服の下のロザリオがヒヤリと冷たくなった。]
…そうだ。そうしよう。
[誰に言うでもなくひとりごちると、カウンター横にある小さな物販コーナーの引き出しを開ければ、沢山の小袋が。
シスター達が暇を見ては作っているロザリオの材料だ。袋の中で、清められ磨かれた石がキラキラと光の粒を放っていた。]
(247) 2014/06/24(Tue) 20時半頃