ー 食堂 ー
ありがとうございます。
[嗚咽に震える声でホットミルクを差し出した相手に礼を言う。顔をあげて、ビックリしてしまった。何かの間違いじゃないかと目をぱちくりとして、涙をぬぐうついでに目をこすった。
どう見てもセレストだった。>>228]
[なにかをいいかかったのだけど、なにも言葉にはならなかった。口をパクパクとしてエリアスさんとハナの声が聞こえてくる。
食堂での先ほどのやりとりが、鮮明な実感を伴って蘇ってきた。
名前を書く儀式をするべきか。それは間違いか。
たった一人で、自分の名前を書くことさえ怖がっていた僕は、けど、僕が感じてたよりずっと大人かもしれないセレストへの敵愾心を支えにして、背筋が延びたような気がしていた。]
もし誰かの名前を名前を書くことになったら僕は大嫌いなセレストの名前を書くから。
セレストは僕の名前を書きなよ。
[冷め始めたミルクは程よいぬるさで僕たちを突き放してくれているような気がして、僕はそのぬるさを何故か目の前のセレストに重ねていて*いつの間にか涙はとまっていた。僕はそうして再び、何が正解なのかを必死で考える。*]
(245) 2013/02/06(Wed) 21時頃