[二人で街を歩けば、予想以上に他人の視線が集中した。中にはメルヤの顔見知りもいたが、今日話しかけてくる様子はない。後日メルヤが一人の時にどういう関係かを聞かれてしまうのかもしれない。
八百屋は依然として閉店していた]
これ、あの娘からもらった物なんです。
[上向けた掌の上、白い石を糸で通したブレスレット。時々着けているのを彼も見た事がある筈。きっと覚えてはいないだろうけど。掌で包み込めば雑念は入りにくい]
どうですか。
[娘の事を考え、彼が進む方に歩く。彼が他人にぶつかりそうになれば組んだ腕を引いて避けて、路地裏を通り抜け、ほんの十分ほど歩いた場所に建つ小さな家の前]
ここですね。ちょっと行ってきますから待っていてください。
[危険があるようには感じなかったので、彼から離れて玄関の前に立つ]
ごめんください。
(245) 2018/06/14(Thu) 22時頃