[朝顔からの意外な問いに、小さく目を瞬く。そうしてゆっくりと考えてから]
……規則というものは、特にそれが長く積み重なって形作られたものならば、そこには様々な理由がある。そして多くの場合、それは「全体」の流れや仕組みを整えるためのものだ。あちらを立てればこちらが立たず。それを如何にうまく整えるか。
だから、個人の感情と、規則が対立することは珍しくない。
[いつも以上に迂遠な言い回し。彼女が問い方を考えたのと同じように、こちらも答え方を考えて]
……大事な人のためと思って、大事な決まりを破ったら。後になってから、大事な人を傷つけることになってしまったということも、よくあることだ。
僕の身内にも、そういうのがひとりいた。長ーく悩んだそうだ。自分の勝手を、相手にまで背負わせたのではないかと。
[そこで一度言葉を切って、朝顔の目をじっと見据え]
……よく考えなさい。大事な人のことを。できるのならば、その人と一緒にな。
(244) 2011/08/16(Tue) 00時頃