[けれどその内心の苦い笑みは、デートの相手なんていないというオーレリアの言葉>>222に、ぱっと霧散してしまう。]
嗚呼、じゃあよろしく頼むよ。
今夜の一人の夕食も、君が誘いを了承してくれたことで寂しいとは思わずに済みそうだ。
[霧散したままに笑いかけ、次の休みの約束を取り付ける。
嬉しいのは約束なのか、それともデートの相手なんていないと聞けたことか。
両方だと気づいてそっと胸の中に仕舞み、軽い足取りで台所に向かう少女を見送った>>225。
カーテンを閉めて室内の灯りをつけ、テーブルに転がしたノートを開いて次回作の草案を書き込んでいけば、台所からは食欲のそそる匂いが漂ってきたか。]
……女房がいれば、こういった生活になるのかねぇ。
[台所から届く音や料理の匂いに顔を上げて、そんな独り言を呟く。
娘じゃないのかというセルフ突っ込みはすぐに出てきたが、年の差の割に娘のようだと思えないのはとうに知っていることだった。]
(243) hisetu 2015/12/21(Mon) 18時半頃