―5月2日昼過ぎ 薬屋「三元道士」店前―
[ミント色の傘をさし、ふらふらと当てもなく歩く少女。夜から降り始めた雨に誘われて、散歩でもしてみようかという気になったらしい。結局なんだかんだで昨日と同じく早く起きてしまった。しかし、以前と比べ閉まっている店も多く、町には雨のせいだけとは言いきれぬほど重い空気が漂っている気がする。化粧をして、お気に入りの服と傘で気分転換のはずが、溜め息をついてしまいそうだ。それとも、自分が呑気すぎるのだろうか。でも…。]
死ぬとか、殺されるとか言われてもね。
[考えはするけれど、実感がまだあまりわかない。でも、昨日会った人たちのことを思うと、笑顔でいてほしいと思う。何故だか…]
しんでほしくないな。
[子どものように舌足らずに、小さく小さくつぶやき、立ち止まる。町の雰囲気にあてられたか、結局一つ溜め息をこぼすと傘を閉じ、近くの大きな荷台のおいてある軒先まで慌てることも無く歩く。店が開いてるとも、中に人がいるとも気付かず、唯ぼんやりと暗い空を眺めた。]
(243) 2013/07/21(Sun) 00時半頃