[零に言った大丈夫、は、嘘じゃなかった。耐えきれないほど辛いこととか、強く怒りを覚えることとか、そういうのはあまりない。というよりも、麻痺をしているのかもしれない。
親父が出て行ったのは慶太が幼い頃だったから覚えていないけれど。慶太や兄の前では気丈に振る舞う母が、隠れて泣いているのを初めて聞いてしまった時。優しかった兄が、母と喧嘩して家を出ると決めた時。それから。
辛いと感じていたけれど、そういうのが少しずつ積み重なって。あまり大きく感情が動くことはなくなったように思う。
近くで見ていた幼馴染が、緩やかな変化に気づいていたかどうかは、わからないけれど。
そんなわけで、多少の余裕はあったので。疲れたように落とされた呟き>>114を聞いて、お前が無理するなよと思うくらいの、余裕はあった。次にあったら、頭を撫で返してでもやろうかなんて思いながら。*]
(242) 2016/09/18(Sun) 00時半頃