……きゃあ!
[油断していれば、当然"滑って"転ぶわけだった。
勢いで道に転げ落ちたスマホと傘、取り落とした鞄に慌てる。]
あ、あ、あ……!
もう、やだ……っていうか、不吉……
[受験生なのに、と、顔を覆って項垂れる。
志乃とのメールのやりとりでも、「転ばないように気を付けて」と注意されていたのに。
幸い、怪我はなかったけれど、打ち付けた膝と手のひらがじんわりと痛い。
どうして、私、こうなんだろう。
朝から幾度繰り返したともしれないそれを胸の内でまた嘆きながら、地に落ちた鞄とスマホを拾う。
立ち上がってみると、もう、靴下と制服のスカートは、壊滅的なまでにびしょ濡れだった。
傘を差し直して、今度は慎重に歩を進める。
時間も厳しいけれど、三年峠じゃあるまいし、何度も転ぶのは御免こうむりたい。
──この調子だと、学校に辿り着くのは、もしかすると始業ぎりぎりになってしまうかもしれなかった*]
(242) 2015/07/05(Sun) 16時頃