[掌にじわりと滲む彼の体温と、自己の体温を比較する。
自分より温度が低い輩は…ドールか死体くらいしか触れた事はない。
それでも他者より、シュウルゥの体温は高い気がする。体調が悪いわけでは無いのなら、これが彼の平熱というものか。
ヤマネ、と言われて脳裏に浮かんだのは鼠だった為、双眸を細め、抗議めいた眼差しを送ってしまったのは一瞬の事]
――どうだろう
ずっと、夢の途中なのかもしれない
[戯言には戯言を。
薄く微笑んで伝えたから冗句だとは解るだろう。
けれど、夢と現実の境目なんて曖昧なもの、案外、ずっと眠っているのかもしれないと感じた部分は、敢えて言葉にしなかった。
邪魔をした、との彼の仕草で「あ」と声を落とし、浸しすぎてしまった針を引き上げた。
問題は無い、とばかり緩く首を振り、珍しくも彼が此処を訪れた理由を、漸く思案する。
情報収集なのでは、と勝手に当たりをつけた]
(241) 2014/01/30(Thu) 15時頃