[ひとり黙々と歩いた道は、雪景色を楽しみたかったせいでほんの少しだけ遠回りになってしまった。
靴下は水分を吸って靴の中でぐちゃりと音を立てているし、スカートの前は吹き付ける雪に濡れて重みを増している。
ふと見た腕時計の示す時刻に、夢の世界>>228は、たちまち霧散した。
早めに家を出たからといって、これは随分と時間を食ってしまったみたいだった。
もしかすると、月詠が、道中に先に行っているはずの自分の姿がないことに首を傾げているかもしれない、と漸く思い至る。
また、やっちゃった。
どうして、私、こんなに考え無しなんだろう!
多くの生徒が通学路に使う大通りの横の小さな細道を、早足に駆ける。
急がなきゃ、と焦る心は、まるで不思議の国の時計うさぎのよう。
だけど、今日は、近年まれに見るほどの大雪だ。この道に、落とし穴なんてものはないけれど──]
(241) 2015/07/05(Sun) 16時頃