[彼女の印象が増えたのは、恵冬の僅かな交友関係に、読書仲間として寺田徹が加わってからだ。
数少ない友達と、親しくしているクラスメイト。
もしかしたら彼女とも話が合うかもしれないと、「駒鳥さんと仲が良いね。駒鳥さんも本が好きなの?」と寺田に探りを入れてみたことがある。
そうしたら、幼馴染だという返事が返ってきて、そうだったんだとすとんと納得した。
物語の中では、幼馴染は特別な間柄だ。
長い年月を分かち合って、深い絆を築き合ってる。
羨ましいな、と思う気持ちが、少しだけ恵冬を大胆にさせたのだろうか。
どうしても彼女と話してみたくなって、それから数日後に恵冬は思い切って彼女に声を掛けた。
――あの、駒鳥さん。水瀬恵冬です、同じクラスの。ロビンちゃんって、呼んでもいいですか?
突拍子もない申し出に、彼女はどんな顔をしたものだったろうか。
今なお、恵冬は彼女をロビンちゃんと、敬愛を込めて呼び親しんでいる*]
(241) 2015/06/18(Thu) 23時半頃