[飛び出した。
自分ではそう思った。
しかし、警戒する間もなく>>219というノックと同時に開かれた扉の外へと進んでいた体は、突如として正反対へとつき飛ばされ、あっという間に組み敷かれた。
思いもよらぬことに、思わず上げかけた悲鳴は、口をあけた瞬間に伸びた柔らかな女性の手によって、喉が鳴るように僅かな空気の漏れを生み出したに過ぎない。
反射的に手足が暴れた。
訳のわからぬ状況の中、バタバタと床を叩く。
しかし絨毯は、そんな音と衝撃を羽毛が落ちたように受け止めた。
暴力。
そう暴力だ。
それ以外のなにものでもない強力が、彼女の全身を打ち据えていく。頭の芯が痺れ、意識が朦朧とする。それとともに、全身からするりと力が抜け落ちていくのを思考の片隅で、妙に冷静に感じながら、どことなく、いやはっきりと自覚した。
『いただきまぁす』
自分はこの場で死ぬのだと]
(240) 2014/11/12(Wed) 23時頃