―少し前、生活指導室へ行く途中―
[背後で聞こえたずるいの声に足を止める。
まあ、言われる気はしていた。瀬志田のは下級生の登場でうやむやになっていたし、その後何も言わないからこっちの“遊び”に没頭する物と思っていたから、深く考えず提案を受け入れてしまったけど]
あー…
[漏らす声は間の抜けた。お前返事しなかったから、と小さく呟いたのは彼の耳に届いただろうか。
俺は、と言われてしまえばここはさすがに自分のミステイクだとわかる。わかるが今更どうすれば良いやら…で。
するりと、思いの外あっけなく腕が離されてそれもまた、以外で。
行く、と言いながら動けない瀬志田が気になるけれど、半ば手を引っ張られる形ではどうしようもなく。
まあある意味、ここで彼を気にしてしまう辺りで恋人の振りとしては間違ってはいる、が]
…、
[まだ開いていない距離、呟いた言葉は彼に届いただろうか。
(240) 2015/01/24(Sat) 00時半頃