― 中庭 ―[この場所へと訪れる者たちは、退屈に飽いているか、庇護を求めているかのどちらかだ。仮に迷い込んだのだとしても、興に馴染まぬ無粋は居まい。月明かりのように静謐な彼さえ、こうして望みを口にする。>>201余りあるほどの生を過去にも未来にも持つ身には、彼の野心が人のように聞こえて仕方ない。] 事情は知らねぇが、随分と低い望みだな。 お前さんの核を動かすには、力が足りないってことか。[彼の口腔で鉤型に曲がる指が、歯列の裏側を拭う。反射的に歯を立てた挙動を諌め、堪えた英断を褒めるように。彼が自覚するとおり、己にとっての些細な仕置きは、下級悪魔からすれば苦行と呼ぶに相応しい体罰となる。>>202]
(240) 2015/07/31(Fri) 21時半頃