[トレイルとのやりとりは、リッキィが立ち去ったあとだったようだ。>>236
小さな掠れ声のあと、トレイルから袖を握られれば>>226、ぎょっとしたように少しだけ身を引きつつ。眸がかち合えば、男も緋色をそらすことなく、少し潤んだ長い睫毛に縁どられた眸も、赤く染まる頬も意に介さずに、そのさらに奥を覗き込むように"視る"。本当の事を言うとは思えず、何を隠しているのか、知るために。
しばしの沈黙。ゆうに二分は経とうかという頃、影が浮かびあがるのと同じ頃合に、トレイルの顔が寄せられ、耳元で囁きが落とされた。]
…………、
[やはり、どこか靄がかかったような浮かび上がる影を視て、泣き出しそうな表情の男を見て、もう一度影を視て]
…………は?
[間の抜けた音が口から漏れた。
一瞬、意味が理解できず。
理解すれば次に、深い疲労感と脱力感に襲われる。
なるほど全て、合点がいった。恐らく、本当の事なのだろう、とも。
そして、今使ってしまった力は恐らく――無駄だったのだろう。]
(238) 2013/09/06(Fri) 20時半頃