―Xday-1day PM 09:00 現実世界・自室―
[一度、再度冷静に考えてみた。
これまで何人かの人間が、噂の“青の招待状”を受け取った、と言っている。一昨日から新しく知り合えた人間は殆どそうだった。
自分が、〈青の招待状なんてただのガセなのでは?〉と思った理由はここにある。]
♪二人きりの約束をした 「絵本の中に見つけた空を見に行こう」 刹那雨さえも引き裂いて もう悲しむ事も忘れたまま♪
[とはいえ、それは自分が、“青の招待状を受け取った人間”を探したから、会えたのだ、と思えば。
まだ、偽物であると決め付けるのは早過ぎる。これからまだ何か、起きるのかもしれないし。
まだ動こう。あたしに届いたのが本物かどうか見極めてやるって決めたんだ。]
♪震えた手を君が支えて 私はそんな背中をただ見守るの 闇に溶けた 歯車は笑う ホラ微かに風が頬を撫でる♪
[そんなことを考えながら、桜綺は耳に当てたヘッドホンから流れる電子の声に合わせて小さく歌う。精神統一の、儀式だ。]
♪世界の最後に傘を差す ずっとこんな世界ならば、よかったのに……
[歌を止めて。]
……よし、行こう。
[彼女は、ハルヒラシティへと飛んだ。]
(238) 2014/03/13(Thu) 19時頃