[付き合いは一月前、丁度一年経った頃に終わる。
その間、ただの一度もソイツ自身を見た事がなかった。
よく一年ももった物だと思う。
彼の代わりに、甘やかして、莫迦みたいに、“優しく”して。
ベッドの中で名前を呼び間違えなかったのは奇跡に近い。
それでも、駄目だった。
元恋人よりも、俺自身が駄目だった。
彼じゃないと駄目だったのに、
時々訪れるバーでは、彼に恋人が出来たという噂を聞いてしまったりしたものだから。
一月前、また独りになって。
南方が参加すると聞いた合宿に、こうして参加して。
二年ぶりに見た彼は、幾度も夢に見た姿をそのままに、俺の眼の前に現れた。
再会したから、また恋しくなった?――いいや、違う。
俺から彼への偏執的とも云えるこの想いは、
あれからただの一度も色褪せてはいない。
ただ―――片想いになってしまっただけ。*]
(237) 2015/11/15(Sun) 04時頃