[穏やかな口振りに助けられ、ついと口にする。>>200]
良かったら、この前の童話の続きを聞かせてくれませんか?
赤ずきんの女の子とお祖母様の話。
[……したものの、彼の手元に本があることを思い出せば、遮るように右手を振り揺らした。
左手に持った花が、ほのかに揺れる。]
あ……、でも、今、他のものを読まれているのでしたら、
次の機会にでも。
[気配りの鈍い自身のことを恥じながら、また俯く。好意で教えを説いてくれるというのに気が回らない。
ベネットの傍らに並ぶ本はきっと今しがたグレッグが運んできたものだろう。
その中には、とても厚みのある本も混ざっていて。
その本の表紙には、おそらく星座と思しき絵柄があった。
ここで時折、顔を合わせるもう一人の『生徒』に関するものだろうか。
そう思いを巡らせながら、グレッグへと視線は傾く。
青年が垣間見せた、苦い表情が少し目に映る。>>201]
(237) 2015/05/10(Sun) 13時半頃