[元々糊如く融解した米は油を入れたお蔭で粘り気を増し、色味は赤だけなら未だしも、卵由来のマヨネーズが絞られているお蔭で、危険信号を奏でるサーモンピンク。
頭痛がボリュームを上げて、くらりと眩暈う。
別に掃除も洗濯も料理も嫌いではない。だが、無駄に仕事を増やすことを子供に覚えさせるべきではないのだ。
沸々と湧き上がる短気を堪え、トレイル。と低く口を開いた。]
……少し此方へ来て、座りなさい。トレイル。
[彼を招いて、寝台傍のチェアを勧める。
己はベッドに腰を下ろして彼と対面。]
―――あれ程、火を使うなと言っただろう。
火傷でもしたら如何する。
あと、とりあえずと目分量で調味料を入れるな。
神の一匙等と言う邪教を私は認めない。
[開口一番、くどくどとした長説教の火蓋が切られた。
しかし、こめかみの血管を揺らしながらも、その殆どは彼の身を無意識に按じ、説教としての体裁も危うい。
腕に止まったままの蜂が複眼にトレイルを映し、明らかな警戒を皿に向けている。*]
(236) momoten 2014/02/11(Tue) 00時頃