― 私邸 ―[蜂に陰気と言う名の蜜を与えていれば、鼻腔を擽るのは不可思議な香り。呪術の実験であれば、許容するが、香草を煮詰めている気配ではない。>>229自分にとっては呪術の方が余程難解だと思うのだが、彼にそんな常識は効かないらしい。ねっとりとして酸味が利いた匂いに焦げ臭さが混じる。] …………、[こめかみを揺らし、眉間に皺を刻んで頭痛を訴えた。鋭敏な感覚器を持つ黒蜂が一瞬餌付いた気がしたが、見ない振りをする。代わりに立ち上がれば、シャツに包まれた腕へと蜂が足を掛け、掌を空ける。ノブに手を掛け、ノックと同時に開いた向こう側、軽いクリーチャーを皿の中に見た。>>230]
(235) momoten 2014/02/11(Tue) 00時頃