― 回想・本部にて ―
[魔の身体構造を解析し、それを物理的に裂くのに適した材質を検証し、最も有効に扱える形に整えて武器として支給する。
それも組織の研究者たちの大事な役割のひとつであった。
キルロイの小隊に所属するようになれば、己の担当は必然に所属する小隊となる。
誰にどんな武器が向いているのか、どんな戦闘スタイルがより個人の能力を効果的に発揮するのか。それを見定めるには当人へのヒアリングだけでなく、第三者からの視点も重要になってくる。
その相手として適していたのが、数々の対魔忍を育て上げてきたJだった。
何度か言葉を交わす内、Jは己にとってキルロイに次いで、気を許せる相手となっていた。
研究の合間に温かい茶を持参して、多くを語るでは無く、ただ同じ時間を過ごすこともあった。]
…………僕は、魔物と人間の間に生まれた、ハーフでした。
[こう告げたのは、そんなひと時の合間。
己の出自を調べていたことを告げるのも、それが最初で最後。
Jの反応がどうあれ、己は黙ったまま茶を口にする。]
(235) 2016/06/05(Sun) 02時半頃