──廃ビル2F──
[ 身体を焼き焦がすような憎しみが育つ一方、心根は冷えきっていた。浅い部分では笑えても、魂は直円を求めているのだ。
それでも、血も涙も通っていない悪魔ではない。負傷した仲間がいるならば気にはかけるし守りもする。
それが特殊な怪我>>101ならなおさら心配にもなる。
しかし、ヘクターの説明通り手当ては無駄らしい。
ヘクターの服が伸びるほどぎりぎりと引っ張っていたが、問いかけられると黙り混む。
目をそらすと、ぱっと解放した。肩をすくめる。亀吉の負けだ。]
そうだな。たとえ腕が千切れていようが死にかけだろうが駆けつけて、直円の喉をこの薙刀で風穴あけてやっただろうな。
……確かに、不格好だが走れるし戦えるなら十分だな。
後ろでへばったら隠すくらいのことはしてやる。
[ 照れ隠しも嘘もない。もし倒れたらヘクターの言葉に甘える。
ただ、激情に駆られた身体を今は理性で支配している。
ヘクターのお蔭、だろうか。素直に認めるのは癪だけれど。]
(232) 2016/06/05(Sun) 02時頃