―Xday-1day・PM9:00頃・ハルヒラシティ、繁華街脇の路地―
[白コートのポケットに両手を突っ込み、煙草型ツールを噛んで背中を少し丸める。
足元を見る仕草。それは、いつもの片山の視界。コンクリートの道に空き缶が転がっている。
息をついて、緩と胸を張った。瞳を上げると、仮想世界のビル群の灯りに星影も薄れさせた夜空が覗いた]
…くだらねーよなぁ。我ながら、…マジで。
[楽園を、見てみたい。それがどれ程恐ろしいことであろうとも。
一度、自覚した望みは胸中に留まり続けて、次第に大きさを増していた。
仮想現実で、いつになく、会う顔に青の楽園についての話を聞いて回ってしまっていた程には。
繁華街の人の流れも鼻先に見える、脇道に入って直ぐの場所。
ビルの壁に手をつき、行き交う顔を暫しぼんやりと眺めて]
……楽園の扉、なんてな。
開けるには勝者にならなきゃいけねーとか、
──ああ、…なんだ、実はそこん所リアルと同じってか?
[知らず、漏れ出す独り言。ぶつぶつと、後半に行くにつれボヤく色も滲みださせ。足元の空き缶を、軽く蹴った]
(232) 2014/03/13(Thu) 18時半頃