炎、水、壁、冬の日差し、茸、それに――虹。それぞれモチーフも色も形も違うから、気に入ったものを選んでちょうだい。その間に――…そうね。買い付けたい花を、選んでいるから。ブーケをね。置きたいの。[目を伏せる。 別れの手向けにせめて、せめて。誉れの花を。 三年前のあの時は、誰の手にも花は渡らなかった。 地面に落ち、踏まれ、無惨に散った花弁は殊更痛ましかった。]……ゆっくり選んでね。
(230) 2018/11/26(Mon) 00時半頃