― 先の未来・アストライヤ国内 ―
[それから、離隊願いは難なく受理された。
狙撃手などヒトでも務まる。さしたる難でも無かった。
せいぜい正確性に抜きん出ているという程度のもの。
銃を握る機会よりも、厨房に立つ時間が獲れた
十年以上も従事していた分、貯蓄も充分、退職金もそれなり。
広くも無い家を借り、城よりも相当狭いキッチンで調理に励む]
………………えっと、うーん……おかしいなぁ。
[読みなれた魔道書よりも、料理の本は難解だった。
手順通りにしている筈なのに、想定と異なるものが出来上がる。
呪術の才はあれど、調理能力は子供以下らしい。
鍋で煮たふやけきった米をどうすべきかと悩む。
栄養素の補填を考えて、オートミールを混ぜたのがまずかった?
汁っぽべちゃべちゃの……粥にするつもりだった食材に
これはなんと呼べばいいのかと額に掌を充てて嘆息。]
(229) motimoti 2014/02/10(Mon) 23時半頃