……ぅ、く……ッ
[咬みちぎることで得た私の血で、彼の中にあった飢餓が泡のように消えていく>>219なんてことも知らず、ただただ、目を閉じて食事が終わる時を待つ。
たべるひとは千亜紀くん
たべられているひとは、私
咬みつかれたせいで血を流し、そうして首から離れていってしまった皮膚の欠片を嚥下する音が、一番遠く聞こえた。
じわりと焼けるように、首元が疼いていた。たぶん、音が遠くに聞こえたのはそのせい]
っ……ぁ、なら──……、
[幸せそうな声が聞こえて、ようやく瞳を開ける。
良かったと続ける筈の言葉は、声になってはくれなかった。
開けた視界、確かに言葉通りの表情の千亜紀くんがいれば胸に湧くのは安堵で。
ずくずくと疼き血が滲む首元を片手で抑えながら、千亜紀くんに笑いかけようとしてみる。
……痛みのせいで上手く出来なかったけど。
でも、良かったねと伝えたくて。だから私はもう一度、腕に力なんか入らないって承知の上で、彼の背に触れた。
動くのは、指先だけでも]
(228) 2015/01/21(Wed) 22時半頃