[──待ち構えていた薔薇の欠片に、足を止めた。] ……次から次へと って感じだなア、おい。[最早、ニコラス・ディロンの仮面を付け直す暇すら無い。狗を従える其の姿は、明らかに喰らう側のもの。髪を掻き上げた手を其の儘に、懐へと手を忍ばせて。生憎、進むも戻るも狗の道。次いで出てくる金ふたりに、警告を投げることもしない。ミルフィオリ、とは彼奴の名か。少年の知る者で或るのなら、見逃してくれるか否か。声の固さからして、如何も後者の香がするが。からりと乾いた唇で、男は強引に笑みを造った。*]
(228) 2017/10/04(Wed) 19時頃