228 吸血鬼の宴


【人】 許婚 ニコラス

[──待ち構えていた薔薇の欠片に、足を止めた。]
 

  ……次から次へと
  って感じだなア、おい。


[最早、ニコラス・ディロンの仮面を付け直す暇すら無い。
狗を従える其の姿は、明らかに喰らう側のもの。
髪を掻き上げた手を其の儘に、懐へと手を忍ばせて。

生憎、進むも戻るも狗の道。
次いで出てくる金ふたりに、警告を投げることもしない。

ミルフィオリ、とは彼奴の名か。
少年の知る者で或るのなら、見逃してくれるか否か。
声の固さからして、如何も後者の香がするが。

からりと乾いた唇で、男は強引に笑みを造った。*]

(228) 2017/10/04(Wed) 19時頃

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