[屋敷の中を歩き、借りた己が休む部屋へと戻る道中。
思い出すのは、屋敷に戻る前にショコラと交わした話>>210。
探し物が得意でも、空に浮かぶ数の金平糖は探せないと言外にショコラは寂しさを滲ませていた。
それでも、彼女は夜空に輝く星々の違いを必死に追うように見ていた。
そんなショコラに、問われる。
己の中の、知らない世界の在り方を。]
──……、そう、だね。
あたしの知らない世界は、楽しかったよ。
嬉しいことは、そうだな。いくつかあったし、きっとこれからもあるんだと思う。
[だからこそ、こんな妙な寂しさを覚えたと自覚しながら。
寂しくないことに関しては、小さく笑うことにした。]
にぎわいに触れられたからね、寂しくないことはたくさんだったさ。
[果てた魂がこの花園を訪れるのは奇跡ではなく、運命であり、導きであり、必然だと。
そう熱弁をふるう小さな姿には、思わず笑いを誘われたのだが。]
(227) 2015/12/16(Wed) 01時頃