[罅割れた心は甘い毒に堕ち、掛かる負荷を放棄する。
自ら腰を動かし、直円の中心を少しずつ、奥へと迎え入れていく。
それは即ち、対魔忍として、人としての堕落を意味している。
魔の者の手に堕ち、狂っていく人間を幾人も見てきた。
そして今、己がその中に加わろうとしている。
しかし、そこにあるのは悲壮でも苦悶でも無く
――――深い安堵だった。]
あ、あ、っ もっと、 もっと、奥……ッ
[ぽっかりと空いた後孔が満たされると共に、己の心の隙間までもが埋められていくような感覚を覚える。
己を苛んできた劣等感も、弱さも、全てが快感と熱に呑まれていく。零す吐息は熱く、両手を直円の首裏に回し、強く抱き寄せてより深い繋がりを請う。
如何に浅ましく見えようと、愚かに見えようと構いはしない。
己はようやく、己を縛るものから解放されようとしているのだから。**]
(226) 2016/06/05(Sun) 02時頃