[そして周りに人のいない木の、その幹に身体を預ける。
男は辺りを見回すことのできる位置に腰を落ち着けることを好んでいた。ここからなら、夜空はもちろん、同好会のメンバーも見渡せる。会話は流石に聞こえないけれど。]
手酌も、なれたもんだよなぁ
[シャンパンをあけて、とくとくとそれをグラスに注ぎ入れる。ぱちぱちと弾ける炭酸に瞳を緩めて。
可愛い彼は隣にいただろうか。それとも誰かと話をしていたか。それでも構わない、ここから姿は確認できるだろうから。
ただ、少し苦しいだけだ。]
きれーだなぁ…
[夜空を見上げて、そう零す。確かにこの星空になら、恋を叶える力がありそうだ。
しかし男は知っている。恋を叶える力があったって、結局動かなければならないのは人間なんだということを。シャンパンを口に含めば、喉の奥で炭酸が弾けた。]**
(225) 2015/11/15(Sun) 02時頃