はあ…どうせなら、鹿じゃなくて人の首を斬りたいよ。
[仕込み刃を水で洗って、流れていく血を見て呟く。
事件を起こしたあの夜も、折角刃もあったのに杖術が慣れているからって全員殴って殺してしまったから、今回はこいつの出番もあるかと思っていたのに。
なんだか期待はずれな気持ちだ。
羽織はこれでもかというほど念入りに洗って
ついでに頭や顔も水で流し、
背負った時に付いたあれそれを洗い流した。
どうせ洗うなら、と。湿った羽織を見て思案した後。
妙な足音が聞こえないことを確認すれば、ついでに着物を脱いで、身体を羽織の袖で拭いていく。
拭いている間は少し寒いが、今後いつ大量の水が使えるかわからないからと我慢して。]
温泉があれば、迷わずそちらにいくんだけどねえ。
[鹿の臭いがとれて幾分さっぱりした頃。また着物を着て、羽織をしっかり洗い、羽織と錫杖を持って野営地に戻った。
その後はシェイが釣った魚やススムが手に入れた草を食べただろうけれど。
もし鹿の解体がまだなら、魚があるから鹿は明日の朝でもいいのではと言って。それでも、肉が柔らかいうちにやると言われれば疲れた顔で手伝っただろう。]**
(225) 2015/03/08(Sun) 03時頃