―森―
[洗った後さながらの濡れ方の髪を解いて、絞って、高い位置で一つに縛り直す。
半端に解けかけていた髪がすっきり纏まった。覆うものがなくなった首筋が涼しい。
腰に縛って居た上着の類も序でに、絞る。通り雨にでも降られてきたみたいな、滴がぼとぼと地面を叩いた。総て、汗だ。
隊服が皺々、とか、細かい事は、普段より余り気にしない]
あぁ、フィリップ、丁度良い、キミには言っておこう。
此処ならドールも居ない、噂にもならんだろう。
誰かに伝えるも、心の内に潜めるも、キミが選ぶと良い。
[ばさり広げた隊服を肩に引っ掛けて、さて、刺繍の羽織と靴はどの辺りに置いて来たんだったかと暗い森を振り返る。
その片手間に、明日の天気の話でもするような、朗らかで、何時も通りに呑気な声音。
其処にヤニクが居たとて、然程気にせず話しただろう。彼にも、口止めする気は別段ない]
(224) 2014/02/03(Mon) 07時頃