[涼介の遠巻きで、キャーキャー噂話をする女子の中に、あたしはいた。>>115
有名人に憧れるファンの心境と変わりはない。だから、あたしがいる場所は遠巻きでいいと思ってた。
――思ってた、のだけど。
文化祭の準備期間、映画の撮影スケジュールを決めていくその話し合いの中に、涼介くんがいて。
すぐ近く、手を伸ばせば届きそうな場所に、彼がいて。
今ならば、近付けるかもしれないって、そう思ったんだ。
それが、文化祭の中心となって動くメンバーに志願した理由。
専門知識も何もないけど、手伝えることはなんでもした。
遅くまで居残りをして、素敵な作品に仕上げられるように時間を割いた。
涼介くんと話をすることもあって、やっぱりかっこいいなあと思うと共に、テレビとは違う彼の一面も知った。
演技ではない素の言葉に、仕草に、いちいち惹かれたのは、仕方の無いことだよね?
憧れの感情は少しずつ、彼ともっと話したいなあ、できれば傍にいたいなあって、そういう想いに変わっていった。]
(223) 2015/07/05(Sun) 01時半頃