[ まさか、だなんて思いながら――服従の呪文のせいだとは夢にも思う事は無く。飛んできた閃光から身を護ろうとしたが、守護霊が出せなかった事の揺らぎが動揺に重なり、その上で反応が遅れた事が加わって、一部を通してしまう。 ]
……くッ……!
[ しかしそれは頭を掠めはしたが――、切り裂いたのは身体では無く、眼帯。軽く耳元に裂傷を作りはしたものの、肩の傷よりは幾分とマシだった。ただ、ハラリと落ちた眼帯が左目の弱い視力に急に光が触れればその差に目を細め。
眼帯が塞いでいたのは、碧眼に浮かぶ異様な稲妻の痕と、それに連なる目の上下に在る、刻み込まれた様な傷跡。この傷は幾ら治癒魔法を掛けられても治す事は出来なかったものだった。
但し、今はそれに構う余裕も無く――、しかし、左目が空気に触れた事によるラグは明確で。眼前の『仲間』であるはずの存在は、目に注意を払うより先に、更に杖を振るう。それと共に吸魂鬼も直ぐ傍へと迫っていたか。 ]
(222) 2014/09/02(Tue) 23時頃