[田原の耳にも放送は聞こえた、が。確かに今はベネットの言うとおりだ。]
ああ、もう行くしかないだろうな。
[ダンへの言葉に、きわめて表情を抑えながら]
今の放送は八千草先生も聞いただろう。放送の主は八千草先生の車のキーを持ってるみたいだし、先生がそっちをフォローしてくれると思う。
もし、何かあったとしても、大丈夫だ。
[半分は、自分に言い聞かせるように言う。言わなければ、踏ん切りがつかないのだ。セシルの言うとおり甘い大人なのかもしれないが、田原は譲れない部分があった。
しかし、ベネットの言うとおりの可能性をみて、もう一台の車にキーを挿し、目立つようにドアを開けた。もし駐車場に来る生存者がいれば、その車に気づくだろう。車にあったレシートに持っていたボールペンで"幽霊屋敷に来い"と殴り書き、ヘッドレストの隙間に差し込んだ。
二人が無事に車に乗り込んだのを確認すれば、田原は運転席に入り車を発進させるだろう。]
(222) 2011/12/04(Sun) 00時半頃