― 回想・文化祭の準備期間 ―
[3−2の出し物が決まったその時も、あたしはクラス委員として話し合いに参加していた。
映画の作成と上映。うん、すごく楽しそう。
何になろうが前向きに楽しむつもりのあたしは、異論を挟むこともなく。
役職が決まっていく様をうきうきしながら見守った。
――心が少しざわついたのは、涼介くんが主演に決まった時。]
あっ……出るんだ。涼介くん。
[仕事が忙しそうだったし、文化祭に参加してる余裕は無いんじゃないかなって勝手に思ってた。
たしかに彼が主演なら、素晴らしい作品になるだろう。
昔から見てたテレビドラマ。そこに七五三涼介の顔はよく出てきた。
あたしと同い年の子役だと知った時、胸に抱いた尊敬と、憧れの感情。
いいなあ、かっこいいなあ、って、そう思っていた。
そんな憧れの存在と、まさか、同じ高校で、しかも3年で同じクラスになれるなんて。
やっぱり世界はいいことに満ち溢れてるなあって実感した。]
(222) 2015/07/05(Sun) 01時頃