[向けられる怪訝な眼差しで、顔に出ていたと知れば、咳払いを一つ。
何と答えるべきか、神のお手入れ方法を尋ねるのは何か違う気がする。
じっと眺めて居れば、作業の合間、動いた折に流れ落ちた銀糸に誘われるように手を伸ばす。振り払わなければ、そのまま邪魔にならぬ様彼の耳に掛けただろう]
いや、…――髪を…、
髪、切らないのか…?
[誤魔化した訳では無く、純粋に、浮かんだ疑問が先に口を突いて出た。
結ぼうか?なんて小首を傾げて、己の髪を結ぶ組み紐を解き、断られなければ結んでしまう気らしい。返事より先に腰を上げて彼の背後に移動して]
ずっと眠って過ごす気かい?
眠る時間が心地良いのは、起きて過ごす時間があってこそだと思うがなぁ…。
[冗談半分に受け止めて、冗談交じりの軽い受け答え。
見下ろす後頭部から、流れ落ちる髪の色は、何処か凍えそうな印象を抱く。肌の色の所為もあるのかもしれない。
本当に生きているのか確認するように、首筋に触れる男の掌は、温室内の空気よりも無駄に暑苦しい]
(221) 2014/01/30(Thu) 03時頃