――仕入れたきみには、釈迦に説法だろうけど。
これはね、かつては最新だったけど、いまは骨董品のピストルだ。
[でも、と。かれが触れれば、銃口に光が満ちていく]
ぼくがかつて宿った神器で、ぼくがすぐ傍にいて――ぼくは、きみを主人と認めてる。
[――ならば、それは真の力を発揮する。
ただ一丁のピストル片手に荒野を生き、最後は包囲された城に篭った英雄が示した力を。
その銃口が火を噴くたび、まるで戦場の女神たる砲兵の一弾が放たれたように、敵が吹き飛んだという伝説を]
ちなみに、それね――平和の創り手《ピースメーカー》っていう銘があるんだけど。
[武器には、ちょっとばかし皮肉な名だけど。そう笑って]
でも、まあ……きみが遣うんなら、まあ、悪くない名かもね。
[凝集した光の密度は、もう十分。あとは――彼女の、意志しだい]
(220) 2015/06/15(Mon) 21時半頃