[前を見据えた両の眼で捉えたのは、女銃兵と、あのエルフ。
そして、粉引いたように微かな落下音を立てて、砂のような細かい粒子が斧刃から地面へと落ちていく。
長柄の先には錆に埋もれた槍の穂先とも見える突起があり、斧の刃は龍が咆哮している口のような、複雑な曲線を持つ三角形をしていた。全体像としては、斧槍とでも呼ぶべき形状をしている武器だ。
もっとも、錆びた現状では、鋭い鈍器のような役割しか果たせないだろうが、検分した結果、表面に浮かぶ錆以外の芯の強度は、金剛石をも凌駕すると見た]
またちょっと、地金が見えてきたな。
[斧を見て、そんな事を呟く。
あれから色々と試してみたが、研磨等で錆を落とすことは出来ず、ただ、自らの膂力でその刃を振るう度に、少しずつその錆が落ちていくことだけが分かった。
まるで、自らを砥石の代わりとし、振るう事だけがこの刃を鍛える術だと言わんばかりに]
(219) 2014/01/05(Sun) 15時半頃