[そういえば、私の人生を狂わせた“あの日”も丁度桜が散る頃だったっけ。今日みたいにこんなに月の光を反射させるようなことは無かったけれど。]
(でも、もう――終わらせられるのね、)
[そこでひとつの誤算に気付く。高い音を鳴らして刃が弾かれるのを見れば「嘘でしょう?」なんて笑みを引きつらせて。とっておきの能力を使い相手>>148を倒すまではいかなくてもそれなりに傷を負わせることは出来ると思っていたのに。]
そう。桜は、散るからこそ美しいのさ。
限りある美しさだからこそ――この世に永遠など無いのだと気付かされるんだ。
[言葉と共に花弁の間を突っ切る男に「あなた、無茶苦茶ねえ、」なんて声を掛けて扇を閉じる。この距離からあんなに大きな鉄塊から逃げるのは難しいだろう。
ならば――、]
ッ――……もう少し、花見を愉しんでくれると思ったんだけど、
[出来るだけ武器への負担を減らし両扇で攻撃を受け止める。が、みしり、と鉄が軋み――腕へと掛かる重圧に僅かに表情を歪めた。
このままでは腕力の差を含め分が悪い、そう考えて相手の脚をねらって思い切り蹴りを食らわせようと試みるが結果はどうだっただろうか。]
(217) 2014/12/11(Thu) 23時頃