[花を持つ手が、見た目よりずっと優しいことをカリュクスはもう知っている。
その手が髪を結い、花の位置を整えた時。
ぽつ、と。点のような赤が見えた。気がした。>>201]
た、大変じゃ。
おぬし、指に穴があいておるぞ!?
[くるりと回って披露した後。
近づき、指先で触れることが叶えばかすかなおうとつを感じて、塞ごうとぎゅっと握りしめよう。]
おしゃれ、とは何ぞいい響きじゃな。
おぬしのもじゃもじゃも、おしゃれであろ。
――…そうか! はじめてであったか。
それは嬉しい、のう。
[髭に触れた時のように、おそるおそる毛先に乗る掌も。
それなりに長い人生を歩んできて、カリュクスが知らないことを知り、経験をしてきたイワノフに新たな体験を齎せたと知れば、まぜる五指は大胆さを増していく。
同時に湧くのは、ささやかな疑問。]
(216) 2015/12/12(Sat) 01時半頃