[恐らくは全てのパンチは躱されてしまうだろう。
それでも、犬は落胆するどころか。目をギラギラと光らせ、闘志を燃やし続けていた。]
ははっ!
[喜びの声を上げ、今度は腰を捻り、回転の力を持ち入り回し蹴りを見まわそう。
きっと、それでもノストが言う『意表を突く』様な一撃には程遠い。
犬は諦める事は無く、内なる血を騒がせ、肉体を自由に操りながら何度も何度も拳や肘鉄、蹴りを繰り出していく。
攻撃する度に、躱されていく度に、何かゾクゾクとしたものが身体を駆け巡るのがよく分かる。
それは理性を奪う様な暴力的な物とは違う、高揚感や昂ぶりかも知れない。
それすらも与えてくれる不死者の王に、心の底から敬意と尊敬と、感謝の念を抱きながら。
何処か落ち着いている自分は、虎視眈々と、王の隙を探し出し見つけようとしてる。
その時だ、取り払われたフードを見つけ。]
――……っ!?
(216) 2015/08/04(Tue) 14時頃