フォーサイをご存知なんですね!
それはそれは、ありがとうございます。
[楽しく拝読、というところに何かしらの含みがあるような気がしないでもないけれど気にしない。
表面上はあくまでにこやかに。]
アランソン家……ああ、あの!
[ここに来るにあたり、マダムDの交友関係は一通り調べたつもりだ。
アランソン家という名前も、たしかにそこにあった。確かマダムに慈悲をいただいた富豪の家柄だったか。
あの家の人間なら呼ばれてもおかしくはないだろう。とは思う。
けれど。]
マダムのお宝。それだけですか?
[何かーーそれだけではない気がする。
目の前の青年に対して、リッカはそんな感想を持った。それは記者としてのものか、リッカの生まれつきなのか、いずれにせよ勘としか呼べないものであった。
もっともそれについての思考がまとまるより先に質問を返されてしまったことで、小さく芽生えた疑問の種は霧散してしまったが。]
(216) 2016/07/30(Sat) 23時半頃