―再び、上流近くの拠点―
おまたせ…
人一人運んできた気分だよ…
[どさりと運んできた鹿を地面に置くと、肩や首をぐりぐりと回す。
まさか鹿が見つかると思わず、頭と腕を斬ったり埋めてあげたりもしていたから。かかった時間と労力は半端ないものだった。
途中で入れた休憩で、持って帰るのは足だけにしてしまおうか何度悩んだことか。
…おまけに、背中から変な臭いがする。
敵もいなかったし、こんなことなら破裂音なんかに気付くんじゃなかったと後悔してもしきれない。
あれだけ長い時間いなかったから、夕飯の準備はもうできていただろうか。また溜息を吐いて羽織を脱ぐ。]
錫杖と羽織、洗ってくる…
[錫杖の中身をしらないススムにはなんのことだかわからないかもしれないが、今説明する気力はなくて。
疲れ切った顔で鹿だけそこに置き去りにすると、自分は川へ。]
(216) 2015/03/08(Sun) 01時頃