―クルシミマスの日―
[世間はキャンドルイルミネーションとかなんとか、夜遅くまで華やかで賑やからしい。
しかしそんな行事は、女には一切関係がないことだった。
今、女の目の前に立ちはだかっているのは「年末進行」という名の壁だ。
担当には「印刷所が! 印刷所が冬休みになりますからああああああ!!」と電話口でわめかれた。
いかにチキンレースに燃える女であろうとも、連載を落とす気はなく。
スウェットの上に半纏という、色気がゼロを通り越してマイナスに振り切っているような格好で、パソコンへ向かっていた]
ううううう〜。
[呻き声を上げて、髪を掻き毟る。追い詰められていたって、書けないものは書けない。煮詰まっていた]
ううううう〜。
[くるりと椅子を回して、後ろを振り返る。こたつに入っている背中が見えた。イヤホンの先はテレビにつながっていて、テレビが映しているのは……あ、触手が出てきた。見なかったことにする]
(215) takicchi 2013/12/17(Tue) 22時半頃