[黒焦げになる、とはなんだろうか。そんな一瞬の疑問。その解を得る前に走り込み間合いを詰めてくる敵。
逆手に持ったナイフでは確実に当たらないであろう位置で左から右に向けてナイフを振るう。完全に無駄な、隙しかない動作。
━━━━逆手のままならば。
ナイフのリーチが大幅に伸び、放たれる豪速の蹴りを左側に避けると同時に相手の肩に刃が吸い込まれてゆく。
エクステンデッド・グリップと呼ばれるカランビットならではの持ち方に切り替え、切り裂く━━━━!!]
「ビチッ」
[避けた拍子に慣性で上がった左腕が、蹴りをまともに受け、釣られるように吹き飛ぶ。]
━━━━カハ…ッ!
[一瞬息が止まるような感覚。まだだ、まだ、死ねない。いや、絶対に、絶対絶対絶対絶対絶対!]
死ね…ないんだ…
[ゆっくりと右手だけを使って起き上がった]
(215) 2014/12/16(Tue) 23時半頃