―屋根の上―
[黒猫の声に、少年の目も僅かに茶色から黒へと色を変える。]
また会ったね、ニュイさん、ボクはトニー・ズメイ。
【龍姫】ミネルヴァ・ズメイが一子。
今から狩るよ、貴女を。吸血鬼の、眷属として。
[トニーの戦いは、生存の為の手段である。
そして、少年は、彼女の討伐が死なない為に必要であると感じていた。 だから…]
はぁぁぁァァォオオオン
[咆哮する。反応、速度、力も増幅するのを感じる。惜しまず一瞬で狼に変化し、目の前の黒猫に突進する。
一撃で仕留める為ではない。奇襲ができない以上、反撃の危険を摘む必要がある。
彼女の得体は知れない、どんな相手か見極めるための一手。
出方を窺う為に、彼女の目前、飛びかかる前にタメを作り…
一瞬、彼女と目が合う]
グァウ!
[そこから何を読み取ろうとしたのか、すれ違うように飛び込む鋭い爪が狙うのは、彼女の右の前足]
(214) 2014/11/12(Wed) 22時頃