………、また冷えると、いけないから。
新しいカイロを持って来たんだ。
[そうして、少しの間躊躇った後に。
言い訳やら口実やらを並べたのなら、握った手を引いて、貴方の手ごとそのまま自分のコートのポケットに仕舞い込む。
手袋をしている貴方の手は、そう簡単には冷えないかもしれないけれど。
けれど、ほら。ポケットの中のカイロはきっと、手袋越しでも貴方の手を温めてくれる筈だから。
――どう見てもこんなのは、"友人" の距離じゃあない。
それは分かっているし、危うさだって勿論感じているのに、それでもこの手を離せないのは……もっと距離を詰めてしまうのは、どうしてなのだろう。
貴方を思う気持ちと、そして不安と。
それらに震える息を吐いたのならば、流石に嫌がられてしまうだろうかとちらりと貴方の顔を伺って。
……その時、不意に。
貴方の薄い色の髪の周りに、青白い光が一筋舞った気がした。]
(214) 2015/11/24(Tue) 00時半頃