――回想 5年前――
いいかい、リツ。
私はもうあちらに行かなければいけないんだが――ちゃんと守れるね?
[最終試験を前に、Jは目をかけて来た弟子にこれまでの教え>>@19を繰り返し唱和させた。
受験者の中では最も若い――「幼い」と言ってもいい――彼>>@7にはまだ早すぎるのではないかという意見もあったが、実力的には十分だと後押しする声もあり、最終的には師匠であり育ての親でもあるJの意見が通った。
ただし手心が加えられないようにという規則により保護者であるJは試験官にはなれず、遠くの討伐隊の対策本部の指揮を執る事になった。
――本部にいたら、通信機に乱れが生じている>>@8に気づいた段階ですぐに助けに行けただろうに。]
最後に。約束してくれ。
「絶対に生きる事を諦めない」。
「死んでもいい」なんて愚者のやる覚悟だ。
生きて戻れ。
[――こう言ったから。
夥しい量の血液を見て、それがリツのものだったと判明しても。
リツは生きているといまだ信じている。**]
(214) 2016/06/05(Sun) 01時半頃