[3階をさっと覗いて、階段を降りて、2階。
3階奥に新しい場所が増設されたなんて知らずに、岩動 呉ととーのひなこは2年生の階をほっついて。
本を読めば、目が覚めるはず。岩動 呉の足は、自然に図書室の方向を目指していて、漠然とした目的地に遠回りに近付いていこうというところ。
序文が想像できない本、題名も知らない本。
でも、やっぱこう言うときは、少し面白い本がいい。
ああそう。例えば、太宰とか。
甘い香りと、焼き物のソースの匂い。入り交じった空気にぼんやりと、思考を溶かしていて。
からからって、軽い音に、漸くとーのひなこが窓を開けたことに気が付きました。
真っ白な、景色。町の光一つもわからない。]
うわ、ホワイトアウトってやつ──
[岩動 呉の言葉もまた、途中で切れ、
言葉よりも先に、手が出ていて、身を乗り出した彼女の肩を、ぐっと、掴もうと。咄嗟の行動で、きっと、力加減もされていないだろう。
ひゅっ、と鳴ったのは。風だったのか、喉だったのか。
彼女の身体で、窓のそと、地面が遠いなんて気が付けなかった岩動 呉だけれど、ただ、知っていた。
2階から飛び下りて、死のうとした奴の、]
(213) 2015/11/02(Mon) 01時頃